女紋 -おんなもん-

当社サイト内でも好評な「女紋特設ページ」が本になりました!書籍版『女紋』絶賛発売中!
販売ページはこちらをクリック!

混乱を招く女紋

女紋とは」でも少し触れたが、女紋には地域によって存在の有無、そして習慣の違いがある。またその実態も十分には把握出来ていない。

京都には各地から紋入れ加工(売却済みの着物にお客様の家紋を加工する事)が集まってくる。その大半を占めるのが女性の着物である為、加工依頼の紋章は当然女紋である確率が高い。しかしながら、家紋と女紋のデザインには決定的な違いがない為、その実態はつかみにくい。

女紋には地域の習慣の違いによる、様々な形が存在する。
女紋が生じる時や受け継がれる形(継承経路の違い)。さらにデザインのパターンまでもが絡んでくる。この数多く存在するパターンそのものが女紋を曖昧なものとしているのである。
各地に様々な形で根付いた女紋は、我々呉服関連業者にとっても認識の違いによって起こる混乱は避けられない。つまり、呉服関連業者でさえ認識が薄いのだ。それ故、紋入れの際の伝達間違いや、思いこみによるトラブルもあり得るのである。

問題はこれらの存在自体を多くの方は知らず、誤解を生み、それがトラブルの原因にまで発展しているという事だ。こうした混乱を招いている原因は、地域性や数多くあるパターンが原因である事に加え、これらをまとめた資料がほぼ無いに等しい事や業者の勉強不足が根底に存在しているからである。
しかしこうした原因だけが問題ではない。
その最もたる原因は、女紋を使用する家系や本人、さらには婚家の習慣や約束事、そしてなによりも「気持ちや想い」といったような感情までもが絡んで来るということである。
習慣が違う家との縁組みの場合、話し合いが最善の策であり大切なことだ。これは人と人とのコミュニケーションでしか、なしえないものなのだ。
つまり女紋という習慣は、お互いが納得するルールを「作る事」が出来るという自由度が高い習慣であるといえる。

女紋の混乱を少しでも和らげるには、地域による習慣の違いを始めとする女紋が持つ独特の特性の理解や、ご使用になる家の事情をしっかりとお聞きし、関わるもの全てが納得する事が、解決法の一つなのではないだろうか。