色に想ふ 〜森本景一色彩論〜 「私と色」

3色の発見

23才から27才までの私はデッサンに夢中だった。
主に木炭でのヌードデッサンで、色を使った制作には全く関心なかったのである。
もちろん仕事では朝から晩まで色と付き合っていた訳だが、制作に関してはモノトーンの世界にのめり込んでいた。
再び色を使い始めたのはデッサンをやめて2年ほど経った頃の事。きっかけは仕事で家紋に色を付けてみようと試みた事から始まった。(家紋研究「大宮華紋誕生」参照)
試行錯誤の末、「地場と紋場と上絵(紋の形を表す線)」を3色で見せる技法を見つけたのである。

3色の配色の面白さは家紋のデザインが最もふさわしいテーマで、「3色しか使わない」という制約が私を夢中にさせたのである。
当初は家紋に色を付けることから、3色と制約をしていたのだが、いろいろとパターンを作り始めるうちに、
「美しい配色の訓練の基本は3色ではないだろうか?」
そう思えてきたのである。
この制約は私にとってみればパズルのようなもので、今までにこれほど配色が面白いと感じた事はなかった。
以前の私は、ファッションやインテリア、その他制作での色彩を自分の好きな色や配色に限定していた。ところが、この3色の配色をパターン化した結果、今までに自分自身が感じたことのない心地良い組み合わせを発見したのである。
後は色数がいくら増えても全く同じ事で、私の発見したパターンに当てはめることが可能なのである。つまり無限に心地よい配色を作ることが出来るのだ。

サンプル作りは楽しく、時が経つのも忘れて没頭した。そして気づけばその量は膨大なものとなっていった。
下記画像はそのサンプルの極一部だ。

サンプル サンプル

この事により人が求める心理的欲求まで見えてきたのだ。
その結果、お客様との会話の中から好みや趣味、または性格・感性や雰囲気で、その方に満足して頂ける配色を楽しみと共に導き出せるようになった。
そしてこれが当社の「大宮華紋」のきっかけとなり、今も私と共に成長を続けている。