未仕立て品の見極め方

1.色ヤケ(退色)チェック

色ヤケとは主に紫外線によって地色や模様が退色したことを指します。
元通りに直らない場合もあり、直せても数万円と高額な費用がかかる場合もあります。
この点が破格値になった一番の大きな要因だと考えられます。

1.色無地(反物)

四丈物(表生地三丈+八掛一丈)の場合は、表と八掛の境目で折り返し、その部分を出して展示する事があり、変色のチェックポイントです。
変色箇所が中に巻き込まれていることもあるため、反物の入り口はもちろんのこと中まで十分チェックを忘れないようにして下さい。

2.小紋染め着尺(反物)

反物の入り口が変色していることが多いです。中には入り口から一丈もの広範囲に渡っているものもあります。
時には反物の途中で折り返して展示してあることもあるため、一応全体のチェックが必要です。
これらの反物のヤケが発覚した場合、お仕立ての際に、裁ち合わせで寸法を無駄なく取り、残り(捨てる部分)を変色部分にあてます。
もし変色部分が少ない場合は仕立て上がれば全く分からなくなります。
どうしても隠せない場合は下前身頃(右前身頃)にもってくれば、着用時には殆ど分からなくなります。
上手くいけばお買い得品にあたる確率は高いのではないでしょうか。
どちらにしても信頼のおける仕立て屋さんにご相談して下さい。もちろん当社でもご相談を承っておりますので、お気軽にご連絡下さい。

3.付下げ着尺(反物)

反物の入り口から片袖、片身となっており変色していることが多いです。つまり右袖、上前(左前身頃)。広範囲だと左後身頃まで退色していることがあり、これは展示の形を示しています。
付下着尺の色ヤケチェックは、左身頃の脇の合い口と上前おくみの合い口の3枚を必ず合わせて下さい。
付下げ着尺の場合は仕立ての都合で隠せることはありません。
お買い求めの前に十分ご検討下さい。


以上1、2、3の項目が反物の色ヤケのチェックポイントです。
ヤケがひどいものは反物の耳(側面)、また反物の入り口の裏面も汚れやヤケがあります。
芯木棒の汚れも目安になることがありますので、この点にもご注意下さい。

4.仮絵羽類(訪問着、留袖、振り袖)

仮絵羽類の多くは展示のため、色ヤケしている確率が非常に高いです。
肩山、袖山、衿山、脇、裾などの折れ筋。また上前身頃、衿、おくみなどは全面に変色が見られることが多くあります。
衣桁にかけて長期展示してあったものは、全面にわたり退色していることが考えられます。

チェックポイントは、肩山、袖山、衿山です。この箇所は両手でつまんで、広げれば一目で分かります。
続いて脇です。チェック箇所は左脇の上下半分にたたんだ所と、もう4分の1にたたんだところ。そして左袖付けです。
これらの箇所はたたんだ折れ山になりますから、汚れやすい事に加え、変色もしやすい箇所です。
また広範囲の変色は仮縫いの中の元色と比べて見なければ、分からないことがあるので十分に注意しましょう。
お店に了解が取れればですが、糸を解くとより判断しやすいです。
尚、仕立て寸法が仮絵羽の寸法以内であれば、脇と裾の折れ筋ヤケは仕立て時に縫い込みに入り、直さずに済みますから、価格によってはお値打ち品を見つけることができるでしょう。
しかし仮絵羽寸法より仕立て寸法の方が広くなる場合は、ヤケ直しに高額な料金がかかることがあります。
また合い口の柄が切れたり合わなくなることもあるため、身幅や裄が広くなる場合はご注意下さい。

前途したように色ヤケ(退色)の多くは補正で直すことができます。
同時に合い口の柄合わせも必要とならばご相談して下さい。心得のある業者なら最善の方法で対処してくれます。
これらも含めて購入前に、業者に十分なご相談と見積もり依頼することをお薦めします。